円安はメリット・デメリットどちらが大きい?円安・円高、どの角度から評価するかを考えてみよう
30 代の男性からの質問です。
円安が続いています。今日はドル円で約156円(7月23日現在)です。各種報道では円安のメリット、デメリットが議論されていますが、私にはよくわかりません。円安と円高、実のところメリットが大きいのはどちらですか?
◆メリットの享受者は?
まずは、メリットの享受者を明確に定めるべきです。例えば日本の国全体で見ると、円安の方がメリットが大きいのは明らかです。製造業を中心とする日本の大企業、特に輸出でもうけている企業には、円安は有利に働きます。当該企業の利益が増えれば日本の税収が増えます。国も当該企業も収入が増えるわけですからメリットが大きいといえるでしょう。
◆消費者の負担は大きい
また、円安時は外貨を多くの日本円に両替できるので、海外からの旅行客が増え、観光産業の活性化などにつながります。ただし、円安のメリットを享受できるのは輸出大企業や海外事業をもつ企業が中心であり、中小企業や一般消費者はむしろ負担が増大しているのが現状です。
◆円安のメリットを実感できない理由
円安のメリットが一部に集中し、国民全体に広がらないという問題に対しては、政府による積極的な富の再分配が求められるところです。今は増税や社会保険料の値上げも重なり、実質賃金の低下が加速しています。国民は輸入コストの増加分を最終的に負担するばかりで、円安のデメリットが直撃している形です。円高、円安のメリットを考える際は、どの立場から見るかが重要です。
1985年、ニューヨークのプラザホテルで先進5ヶ国(米、日、英、独、仏)蔵相・中央銀行総裁会議が開催されました。ここで過度な米ドル高を是正する「プラザ合意」が成立しています。その後日本では円高が進み、輸出競争力は低下。輸出関連産業が打撃を受けて円高不況が進みました。
今は円安ですが、日本経済にはこのような歴史もあったのです。
広報担当